はじめに
どうもソテツです。今回は、2021年12月12日実施の環境計量士(濃度関係)の環化科目の当日の解答トレースをしていきます。
トレースについて
この記事では、当日解答した際のトレースをしていきます。運を天に任せたものもありますが、25問中24問正解しました。どのような考えて解いていったか、ご参考になれば幸いです。
問1〜5
問1:お決まりの法令問題。公害総論とか2年前に解いたから忘れたけど、何となく5が違う気がする⇒解答5
問2:公害防止管理者の大気関係はやってないけど、2と3って被ってるような。3がより包括的だから、2が不正解かな・・・?⇒解答2
問3:わからん。知事と環境大臣が「協議」すべきこととして、1~3はばい煙の総量だから、「協議とは違う気がする(報告とかならわかるけど)。とすると4と5のどちらかになるけど、なんとなく期間かなぁ…(⇒解答4)。
問4:公害防止水質はやったけど、何だっけ…。忘れたから適当に解答(⇒3;実際は5)。
問5:塩素系、ベンゼンは割と有害物質だった気がするし、ヒドラジンは確か「指定物質」。(⇒解答1)。
問1,2,4は穴埋め問5は物質名解答、問3は少し難しそう。
問6~10
問6:水素原子の発光スペクトルの問題、大学量子化学でやるけど、微妙にマニアックだなぁ。最長波長の発光は、n=1とn=2の間の遷移なので、これらを代入、λを求めるために逆数にして終了(⇒解答2)。初見であったとしても、難しそうに見えるけど見掛け倒しで、問題文に従って素直に数値代入していけば解けるタイプの問題。アトキンス物理化学〈上〉あたりに詳説あり。
問7:お決まり問題。式の立て方と近似を少し考える必要のあるタイプ。安定度定数が大きい=MとLはほぼ全量が反応してMLになる、と考えて、M = x molL-1, L = 0.01 molL-1, ML = 0.01 molL-1と置いて、安定度定数=1010 = (0.01)/(0.01)(x)として x = 1.0 × 10--10 molL-1と求めた(⇒解答4)。安定度定数が小さい時とは違う解き方が必要(試験中、数分ハマった。)。
問8:お決まり問題その2だが…塩基解離定数ってどう出すんだったか…Ka = [AcO-][H+]/[AcOH] Kw = [H+][OH-1]だから、[H+]が消えるようにKa/Kwにしてみるか…
⇒解答3
問9:過塩素酸即答(⇒解答5)。真面目に解くとしたら、ClにOHひとつとOがn個結合している化学種だから、Oが多いほうが強い酸(共役塩基のClOx-が安定)。物質の構造と酸の強弱の類題は結構出る印象。フッ素化カルボン酸のpKaの強弱とか、置換芳香族のpKaとか。
問10:還元力最強はリチウムで即答(⇒解答1)。標準電極電位としては、マイナスが大きいほど還元力が強い。イオン化傾向等のネタを絡めつつ、他の化学種でもまた出そうなネタ。
問11~15
問11:P-Pを解離させるのに200 kJ/mol、黄リンにはP-Pが6本だから、P4を4Pにするには、200×6=1200 kJ/mol。題意のエネルギーとしては、1/4して300 kJ/mol。丁寧に図まで書いてあってよかった。選択肢に1200 kJ/molとかあったら嫌らしかったね。
問12:ペンタノールはOH入りで明らかに溶けやすいから、2か3のどっちか。ペンタンとヘキサンだと、ヘキサンの方が炭素鎖が長くて疎水度が強そうだから、2で。
問13:大学学部レベルの問題…トルエン即答。この中で芳香環を電子活性化するのはメチル基だけ。アニリン・フェノール類のブロモ化みたいな形で類題が出ることもあるので、芳香族の電子豊富、不足と配向あたりは知っててほしいのかな。筆者が学部時代に使っていた教科書シリーズはこちら。
問14:アルドール縮合の問題。構造式をかいて反応させて、4。上記有機化学教科書みたいな一般的な有機化学教科書には載っている反応。
問15:PV=nRTからV=RT/Pと変形して代入(1 molなのでn=1)して積分。この変形が出来ればただの高校数学問題(解答⇒5)。
問16~20
問16 高校化学でも解けそうな問題。Ag+、Pb2+は塩酸で沈み、Ba2+が硫酸で沈み、Fe3+がアンモニア水で沈む(⇒解答3)。Cu2+はアンミン錯体化。一応フローチャートみたいなのを書いて確認しながら解いた。問題文をよく読めてるか?の注意力検定な感じもする。沈殿生成問題は視覚でとらえるフォトサイエンス 化学図録とかで視覚的に覚えたなぁ。文字だけだとただの呪文だし。
問17 半減期のお決まり問題。100秒ごとに1/2になるから、1/16(=1/2*1/2*1/2*1/2)にするためには400秒あればよいと考えた(⇒解答3)。立式するのであれば、2(-t/100)、tは秒。半減期ネタもそこそこ頻出だが、今回は簡単。
問18 イオン化エネルギーの頂点だから、希ガス確定。選択肢は5。1~2は8元素、2~3は18元素だから、選択肢は実際あっている。選択肢に希ガス系列の解答が2つ以上あったら少し難易度上がってただろう。
問19 即答すべきなんだろうけど、数えた。上下左右裏表面上の原子は、1/2個なので、合計1/2×6=3個。角の原子は1/8個だから、1/8×8=1個。合計4個。体心立方格子、六方最密充填で類似の問題が出る気もするので、そこらへんも確認事項かな。
問20 選択肢1:あくまで波の性質を利用しているので、正しい。選択肢2:観測される波長はnλじゃないのか・・・?保留。選択肢3:結晶構造が異なれば、積層間隔なども異なるので区別できる。正しい。選択肢4:与式を変形すると、sinθ = nλ/2dだから、dが大きくなれば、θは小さくなるはず(0°<θ<90°)。誤り。選択肢5:dの値に多様性が出れば、θの値にも多様性がでるので、線幅は広がる。正しい。というわけで、選択肢4が誤り。(2も厳密には誤りなのでは・・・???)
問21~25
問21:まぎらわしい…(ア)は確か良い。(イ)は2n2?n2?電子数じゃなくて軌道数だからn
(エ)で絞り込んで、1・3・5のどれか。(ア)~(ウ)は正しそうだから3で。
問22:さきほどの水溶解度の問いみたいに面倒か・・・?と思いきや、フッ化水素の沸点と塩化水素の沸点の関係がおかしい2で即答。アンモニア、水、フッ化水素は水素結合が強いため、同族水素化物化合物の沸点―分子量の系列から外れる。他の選択肢が分からなくても解答可能。1はオクタンの方が分子量大、3はシスの方が永久双極子モーメント(≒極性)有り、4はジメチルエーテルとエタノールの分子量は同じだが、エタノールは水素結合あり、5はペンタンのほうが表面積大(⇒分散力大)、みたいな説明になるのかな。分子量・水素結合・双極子モーメント・分散力を絡めて類題が出そうだし、融点でも類題が出そう(こちらも分子量、水素結合や分子の対称性辺りを絡めて)。
問23:ええ…命名法…しかもちょっとマニアック…全部に4,4'が入るのが嫌らしい。
3,3'は入りそうだから1か4で…あとは2位にいるから、4か。命名法に関してはこんな書籍もあるが、この試験のためだけなら、そこまでやらなくてもいいと思う。
問24:ややこしいが、与式から、KIO3はKIにより3モルのI2に変換され、I2は2 molのチオ硫酸ナトリウムと反応する。つまり、出題の条件では、KIO3 1 molは Na2S2O3 6 molに相当する。加えたチオ硫酸ナトリウム溶液はV mLだから、物質量としては、C × (V/1000) molとなる(単位変換に注意)。反応したヨウ素酸カリウムは、1/6の CV/6000 mol。この量が、100 mL (= 0.1 L)の水に溶けていた、という事となるので、題意の濃度は CV/6000 ÷ (0.1) = CV/600 ⇒解答2
ややこしいけど、これが解ければ大体の滴定問題は解ける力が付いてると思う…。
問25:お決まりの平衡問題。高校化学でもいけるかな…?前提として、分子総数が減るから高圧が有利、吸熱反応だから高温が有利。つまり、ア、イは正解。また、右辺の生成物を取り除けば、平衡は右に移動するのでウも正解。エは関係ないガスを体積一定(つまり各化学種の分圧は一定)入れてるから、何もしないのと同じ。オは触媒なので反応速度は変えるが、平衡移動には関係ない。アイウのうち、正しく選んでいる組み合わせは1のみ。
おわりに
環化は、法規問題以外は、高校~大学の課程で習得する化学からまんべんなく出題されている印象で、ここで得点しようと思うと一朝一夕では難しいと思われます。比較的で安い問題を得意分野として注力し、決めた分野以外は思い切って捨てる戦略が必要となると思われます。